HYPERION
HAYATE 25e 作製記 壱

出会い 2023/12/10
仕事中にちょっと時間つぶしで入ったリサイクルショップにコレはありました。

ハイペリオンの疾風・・・今までヤフオク等で見つける度に手を出そうかと思った事はありましたが私の場合はアレコレと手を加えてしまいモノになるかわかりません。
今となれば貴重なキットとなるので真っ当な人の手に渡った方がいいと思っていました。
が、今ここはリサイクルショップ・・・ラジコン飛行機を目当てで来る人はまずいないはず・・・私が買わねばいったいこのキットの運命はどうなる?
なんて大義名分をこしらえながら購入いたしました。

キット紹介 2023/12/20
開封!  十数年ぶりの光を浴びた事になるかな。
最近は発泡スチロールに埋まっているものが多いように思いますがこの当時はこんな感じでしたね。
主翼はバルサ骨組みにフィルム貼りです。
実物を見るまでは主翼もグラスファイバー製だと思っていました。
バルサ骨組みならやりたい事がやりやすくて良い。
主翼上面

ノルナの赤い警戒ラインにまで補助翼が伸びております。
ってか補助翼が長くエルロンのあたりまで伸びている。

ラジコン的なディフォルメだと認識しておりますが私が所有する他モデルでここまで極端な物はないので実機に合わせます。
主翼下面

主脚の納まる箇所は加工済み。タイヤ小さい。

フラップは全くありません。
胴体

グラスファイバー製で造形に違和感は感じません。
機首

やや大雑把ですがモールドがあります。
実機と比べて変なアレンジもなく嬉しく思います。
上部に開口部は見当たりません。バッテリーは裏から積むのかな?
胴体下面

補強の航空ベニヤがあります。
ここから見る限りかなり上部に補強があるので機器やバッテリーをどう積むのか現時点では皆目見当がつきません。
尾翼

垂直尾翼は胴体にグラスファイバーで造形されており、方向舵もグラスファイバー製に思われます。
水平尾翼はバルサ骨格にフィルム貼りで板状です。。
エンジンカウルとモーターマウント

エンジンカウルはグラスファイバー製で当時としてはなかなか良い造形です。スリット等ちょっと無理な解釈もありますがここは修正していきます。

モーターマウントは当時のハイペリオンのモーターを正マウントで取り付ける仕様です。今では入手できないので別のモーターをバックマウントで取り付けますのでこのマウントは使用しません。
エンジンカウルはカウルフラップの並びを見ると増加試作型の集合排気管仕様のようです。
ココは量産型の単排気管仕様に変更します。
風防と主脚カバー等

風防はガラス面がやや黄色く経年でやけているのかと思いましたが当時からこの色が入っているようです。

主脚はキット付属のやや小さめ仕様なので使わないと思います。
主翼カンザシ

航空ベニヤ製で主翼は左右接着で使用となります。
キット付属主脚・尾輪

主脚はタイヤがかなり小さい、基部は使えるかな!
巻きバネタイプのシャフトはできれば使いたい。

尾輪は非引き込みで方向舵に取り付けるタイプとなっております。
付属類

ネジやヒンジ類です。ネジのいくつかは粉を吹いているものがありますので時間の経過を感じます。
付属類2

アルミ製スピナーはサイズと形がドンピシャなのでいい感じ。2ブレード使用ですが何とかこのまま行きたいです。

深緑のものは集合排気管なので使用しません。
白いのはリンケージのカバーのようですがこれも使用しません。

作製計画 2023/12/22
せっかく手に入れた事だし遠慮無くいつもの感じで作製していきたいと思います。
1・動力は電動モーター。
2・主翼は補助翼の形状修正にフラップを追加、できれば蝶型フラップを再現したい。
3・胴体にはダミーエンジン追加、搭乗員追加、尾輪の引き込みとできればカバーを追加。
4・全備重量は1,800gを目指す(努力目標)。 以上

主翼作製 2024/01/20~06/22

  翼端・補助翼 改修 2024/01/20~02/18
作製に際して図面を並べてにらめっこ。
先にも述べましたが実機図面と合わせてみると改めて補助翼がとても伸びておると感じます。
当然、裏面もフラップに大きくかかってきます。
主翼はグラスファイバー製ならば加工は難しいと思っておりましたが木製とわかったので加工する意欲が湧きます。
とりあえずフィルムがあると中の構造がわからないず構想もできないので全て剥がしました。
これがラジコンメーカーの設計した骨組み、綺麗にまとまっております。
フラップを装備するとしたら胴体側はかなり中心まで伸びてます。
機体中央部は胴体との固定ネジもあるしなかなかタイトな感じです。
実機図面と比べてみると主脚のサイズ感がかなり違います。
車輪の間隔が離れておりますがココにはリブがあり近づけられません。
とりあえず内部骨格を見ながら妥協点を探っていきます。
翼端と補助翼のつながりを図面と合わせて見てしまうと角度の違いに気がついてしまう。
翼端の後部にバルサ材を追加し、このラインに角度を合わせます。
不要箇所をカットしヤスリで整えました。
主翼には後に0.5mmバルサでプランク予定です。翼端はスカスカで接着面がないためバルサを接着し骨を作ります。
形を整えました。形状は目測です。
キットの補助翼と実機図面。
ここからいつも通り思いのまま切り刻んでいきます。
補助翼を実機に合わせてカット。
そのままでは寂しいので羽布張りっぽいモールドを追加しました。
補助翼と仮合わせ。

空いた隙間を作りつつファウラーフラップを収めなければいけない。

以前ファウラーフラップを搭載した雷電はゼロからの設計だったので骨格を把握しながら設計製造できましたが・・・今回はある程度形になっているものに組付けていくので難しい・・・現物合わせしながらやっていきます。
補助翼を短縮によりできた隙間を埋めていきます。
後部副桁にバルサでベースを追加。
先ほど追加したベースに合わせて1.5mmバルサを上面に接着しました。

  蝶型フラップ追加 2024/03/02~05/12
購入段階から思っていた中で一番加工がやっかいそうなのがフラップです。

はっきり言ってラジコンとなった場合に必要なモノか?となれば甚だ疑問な装備。いわゆるロマン枠です。ロマンを追いかけるとモチベが上がりやすいとも言えます。

資料とにらめっこ・・・。
疾風に装備されているのは一般的にはファウラーフラップですが中島飛行機では蝶型フラップと呼ばれていたそうです。

九七戦から一式戦に機種転換する際に操縦者から旋回能力が九七戦よりも劣るから何とかしろ!と突き上げをくらいつつ空戦フラップとして開発されたそうです

まぁ、ファウラーでも蝶型でも呼び方はこの際どうでもいいのですが胴体側と翼端側でスライド量が違うのが何とも難しい。。
この解説図にあるようなガイドレールが再現できたらさぞや素敵な事なんだろうけどあの狭い中にこれらを組付けるなんて想像できない。

でも、できるだけそれらしくはしたい。
自作だった雷電の時と違い今回はすでに骨組みができあがっておりその中に組み込んでいきます。

傍から眺めて考えていても全く理解が進まないため疾風の図面を取り込みその上にキットの骨組みを書き足してそこから考えていく事にしました。
構想しているだけで無駄に3週間ほどかけてしまった・・・PCを眺めて考えているだけでは何も進まないので合わせて現物を見ていきます。

図面からフラップを切り出して合わせてみると若干形状が合いません。
図面からフラップを切り出して該当箇所に合わせてみると若干ですが形状が合いません。
一旦、フラップ開口部に1.5mmバルサを接着。
先ほど接着したバルサにフラップの図面を合わせて改めて切り出しました。
フラップ駆動。

雷電の時にも使用したアクチュエーターです。
スライド量は20mm、雷電の時はそのまま組み込みましたが完成してから正直もう少しストロークが欲しいと感じました。
今回は2倍程ストロークさせるため倍動装置を作ります。
中はこんな感じ。
無理なく壊れず動いてくれたらそれでいい。
倍動装置完成・・・まぁ装置ってほど立派なモノではないか。
レールに関して試行錯誤

色々な形状を仮合わせしながらだいたいこの形状あたりで行けるのではないかと!


先ほどの木片をスキャナで読み込んでこれを元に図面でイメージトレース。

お絵かきしながらできる範囲で動作量や角度の確保、動作中に干渉しないよう頭を巡らせます。
お絵かきの結果

このような形に落ち着きました。
レールは2mmバルサの両側面に0.5mmカーボンを貼り合わせる事にしました。
とってもタイトな加工

軸を通すレール溝は構造材のかなり際どいところに来ます。構想段階でこれを加工できるかかなり不安でした。
やれば何とかなるもので頑張って何とかしました。
リューターでカット用の薄刃で溝を作りました。
想定より容易で良かった。
主翼側とフラップ側でレールの位置する箇所を0.5mmほど彫りました。
フラップは今のところ仮のものです。
レールを両面テープで仮固定しました。
ここからまた試行錯誤。
現実は机上の空論より遙かに厳しい。

とりあえずスライドはできます。が次からまた問題山積。
フラップの固定はできるだけ薄くなるように飛び出ているカーボン板をフラップに直に差し込んで接着と考えていましたが加工が難しそう。

強度も足りない。
これらのヒンジを左右各2箇所、全て同クオリティに仕上げる自信がない。

フラップ固定方法も含めスライド動作時の干渉も若干感じたので解消されるまで試作し動作確認を繰り返し・・・。
最終的に0.5mmアルミ製を曲げて使用する事にしました。
増える厚みは分は何かで吸収しよう。
フラップ駆動のリンケージ。

前後動作に角度変化に左右の動作量の違いと3つの要素をフレキシブルに捌かなければいけない。

なので動作軸受けはピロボールを採用。
とりあえずまたレール一式を主翼に仮設置。展開時
次は収納時

干渉もなくスムーズな事を確認。ようやく一歩進んだかな♪
手動だと無意識に補正しながら動作させてしまうので次はアクチュエーター駆動での動作確認ですまだ主翼に接着していく自信はないのでテーブルに仮設置です。

まずは収納時
手前が胴体側で奥が翼端側となります。
胴体側の方が動作量が多いのでピアノ線は1.0mmでストレートです。
逆に翼端側は動作量が少ないので余った力を逃がすため0.8mmピアノ線を曲げて使用しております。
中間時です。
仮固定なので曖昧なところもあり、まだ主翼に組み込むには調整が必要ですがおおむねこの方向で行ける気がします。

ここまで長かった。
 240330 Hyperion Ki84 25e用 蝶型フラップ 動作試験
悩みどころだったレールに目処が立ちましたので心晴れやかにフラップを作っていきます。

1.5mmバルサから切り出していきます。
フラップを切り出し。
アルミヒンジで厚さが増した分、できるだけ薄く仕上げたいのでレールに沿う部分を1mm削りました。
背面の0.5mmバルサを貼り、後縁部にはガーニーフラップの角柱を接着しました。
フラップの内面を研磨して翼断面形状にしました。
主翼裏 フラップ内面が寂しかったのでそれっぽくモールドと肉抜き穴を追加しました。
フラップ上面に0.5mmバルサを貼り付けました。
フラップ内面に0.03mmアルミテープを貼りました。
フラップ本体にも0.03mmアルミテープを貼り、ルレットでリベットモールドを付けました。
レールに使用するピロボールが駆動中に若干ですが干渉するためピロボール廻りの樹脂を削って小さくしました。

上が加工前で下が加工後です。
ピロボールにカラーをかませてピアノ線を接着。

ピアノ線は胴体側1.0mm、翼端側0.8mmです。
実験ではよくなったように見えても・・・。実際に組み付けると新たな課題発生。

単に前後にスライドさせる分には問題ありませんが展開開始で翼端側から先に動きだし遅れて胴体側がついて動作となります。

収納時は逆に胴体側から動き翼端側がついてく・・・。

希望としては胴体側と翼端側が同時に動いて欲しい。
またもや試行錯誤開始!!!

何とかならぬか作り・組み付け・動作試験を色々と繰り返し曲がったピアノ線を乱造。
ようやくたどり着いた形状。

ピアノ線をさらに細いものに変更。
胴体側は0.8mmでストレート、翼端側は0.6mmをクランク状に曲げてあります。
収納時の状態で翼端側の0.6mmピアノ線に若干引っ張りを入れてあります。
これで動き出しに誤差が生じる事で結果として胴体・翼端側がほぼ同時に動作するように見えます。
フラップ本体を接着し動作させてみました。
まずは収納時です。
半展開時

動作タイミングとスライド量はほぼ同等です。
展開時

翼端側が止まったあとに胴体側が若干開きます。

ほぼ思っていたようになりました。
長くかかり過ぎた。もっと煮詰めたいと思う所はありますが・・・これで良しとしよう。
 240507 Hyperion Ki84 25e用 蝶型フラップ 動作試験

   NEXT   CLOSE